COLUMNコラム
【コラム】「変形労働時間制」で残業代を適正化し、現場の生産性を高める法|導入の4ステップとメリットを解説
中小企業にとって、人手不足と人件費の上昇は避けられない課題です。特に残業代は、繁忙期が続くほど利益を圧迫しやすく、経営の重荷になりがちです。
しかし、労働基準法に沿った制度設計を行うことで、現場の負担を抑えながら、労働時間とコストをより適切に管理することが可能になります。今回は、現場を持つ企業で活用されることの多い『変形労働時間制』を中心に、導入のポイントをわかりやすく解説します。
現場主導の「変形労働時間制」と、個人主導の「フレックスタイム制」
労働時間の柔軟化を検討する際、よく比較されるのが「フレックスタイム制」と「変形労働時間制」です。両者の大きな違いは、労働時間の決定主体が誰かという点にあります。
•フレックスタイム制(従業員主導)
従業員が始業・終業時刻を自ら調整できる制度です。個人の裁量が大きいため、IT企業や研究職などに向いています。一方で、製造・物流・サービスなど「チームで動く現場」では、業務の足並みが揃いにくくなる可能性があります。
•変形労働時間制(会社主導)
繁忙期と閑散期の業務量に合わせて、会社があらかじめ労働時間を配分する制度です。たとえば「繁忙期は長め、閑散期は短め」といった形で、期間を通じて労働時間を調整できます。法定労働時間の範囲内で設定すれば、日によって所定労働時間を伸縮させても、その範囲内は割増賃金の対象外となります。
「変形労働時間制」導入による主なメリット
ここでは、採用率が高い「1年単位の変形労働時間制」を例に、期待できる効果を紹介します。
•割増賃金の発生を抑えやすくなる
繁忙期の所定労働時間を長めに設定しておくことで、法定労働時間内に収まる範囲は割増賃金の対象外となります。結果として、繁忙期の残業代が膨らみにくくなります。
•「手待ち時間」の発生を抑制
閑散期の勤務時間を短く設定することで、仕事が少ないのに定時まで待機するような状況を減らしやすくなります。業務量に応じた時間配分ができるため、効率的な働き方につながります。
•採用面でのプラス効果
閑散期に早帰りを設定したり、夏季休暇や年末年始の休暇を長く設定することで、求職者にとって魅力的な働き方を提示しやすくなります。
導入のための4ステップ
変形労働時間制を導入するには、労働基準法に基づいた手続きが必要です。
1.労働時間カレンダーの作成
対象期間を平均して1週間あたりの労働時間が40時間を超えない範囲で、日ごとの勤務時間と休日を配置します。
2.労使協定の締結
対象者、変形期間、総労働時間、各日の労働時間などを定め、従業員代表と協定を結びます。
3.就業規則の改定
制度を採用する旨を明記し、始業・終業時刻や休日設定の根拠を整備します。
4.労働基準監督署への届出
労使協定を監督署へ届け出ることで手続きが完了します。
F&Partners の社労士からの提案
制度の仕組み自体はシンプルに見えても、実際に導入するとなると「自社に合う形に落とし込めるのか」「どこまで整備すればよいのか」といった不安を抱く経営者の方は少なくありません。 変形労働時間制は、年間の業務量の整理、勤務パターンの設計、労使協定の内容検討など、考慮すべき点が多く、経営者が単独で進めようとすると負担が大きくなりがちです。
こうした複雑さは、適切なサポートがあれば大きな障壁にはなりません。F&Partnersでは、まず経営者の方から現状や課題を丁寧に伺い、その内容をもとに制度設計のポイントを整理しながら、導入までのプロセスを無理なく進められるよう支援しています。
「今の働き方を見直したい」「制度を整えて経営を安定させたい」と感じている経営者の方は、まずは現状の整理から始めてみませんか。プロの視点を取り入れることで、戦略的な労務管理が可能になります。
お困りごとがございましたら、ぜひ一度お問い合わせください。
